連載 戦略的医療安全研修――計画から評価までのプロセス・12【最終回】
医療安全研修から医療の質向上へ
石川 雅彦
1
1国立保健医療科学院政策科学部
pp.1084-1088
発行日 2007年12月10日
Published Date 2007/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686101095
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
戦略的医療安全研修の全容
1)戦略的医療安全研修の第一歩
これまで11回にわたり,医療安全研修を実施する際に必要になると思われることや,課題などについて述べてきた。現在まで医療安全研修を積極的に実施してきた施設でも,そうでない施設でも,戦略的医療安全研修を実施するための第一歩は,施設の管理者を含めた職員全体での意識の統一である。すでに研修を実施されてきた施設の場合,これまでの研修の現状把握と評価を踏まえたうえで,自施設の医療安全を今後どのように発展させたいのか,取り組むべき課題について職員個々が自由に意見を出し合い,共通理解することである。今後,医療安全研修に取り組もうとしている施設の場合,施設の特徴や理念を踏まえて,医療安全における課題とめざす方向性について十分に話し合い,目標を定めることである。
大きな組織になればなるほど,職員全体の意識の統一は難しくなり,施設の管理者の明確な意思表示が必須となる。これに対して,規模の小さな組織であれば,職員全体の意識の統一はしやすいが,実施における個々の負担が大きくなることがあり,十分な理解と協力を得られるように疑問や気がかりを伝え合うことが重要である。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.