連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・25
「心の友」とは―フランス流と米国流― 『ジュールとセザール』『ふたりはともだち』
柳田 邦男
pp.624-625
発行日 2007年7月10日
Published Date 2007/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100993
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最近,仕事でフランスに出かけることが多い。パリに滞在する時は,必ず書店に入って絵本コーナーで,どんな絵本が出ているかなと,あれこれ手に取って開いてみる。
日本で翻訳されている外国の絵本は,アメリカ,イギリスのものが圧倒的に多く,オランダ,ベルギー,デンマーク,ドイツなどのものがこれに続いている。これに対し,フランスのものはあまり多くない。ある絵本専門の編集者によると,日本人には英語圏のユーモアやジョーク,北部ヨーロッパのアンデルセン的物語がわかりやすくなじみやすいのに対し,フランスのひとひねりのあるエスプリは,子どもにはわかりにくいからではないかという。しかし,大人である私にとっては,フランスの短編小説に見られるような知的なひねり方のある絵本は味わいがあって好きだ。
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