連載 スクラブ・ナース 3年生・26
Doctor of Nursing Practice
鈴木 美穂
pp.601
発行日 2007年7月10日
Published Date 2007/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100985
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- 文献概要
最近,博士課程の仲間と会うと,Doctor of Nursing Practice(DNP)のことが必ず話題になり,賛否両論が飛び交う。DNPは,これまでのDoctor of Philosophy(PhD)やDoctor of Nursing Science(DNSc)が研究に重点を置いているのに対し,臨床(clinical)に重点を置いた博士レベルの学位として,2004年AACN(アメリカ看護大学協会)によって提唱された。現在DNP養成プログラムを設置した大学が全米に29校あり,一般にDNP取得のためには博士論文を書く必要はなく,1年間の臨床研修(residency)を必修とする。アメリカでは卒業論文も修士論文も必修でなく,博士課程で初めて研究をするシステムになっているので,DNPを看護学の最終学位に含めることによって,研究をしたことのない“博士”が誕生することを憂う声もある。
しかし,“Doctor”という学位は必ずしも研究者を意味するものではない。最もよい例は医師(MD)である。他にも,歯科医師はもちろんのこと,今では薬剤師もDoctor of Pharmacy(PharmD)の学位をもっていなければならない。理学療法士も作業療法士もこの方向に進んでいるとのことで,ナースもそうしなければ政策決定の場などで他の専門職と肩を並べられなくなるというのが,DNP賛成派の主張のひとつだ。
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