連載 スクラブ・ナース 3年生・25
グローバル・スタンダード
鈴木 美穂
pp.535
発行日 2007年6月10日
Published Date 2007/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100972
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先日,少し残念な話を聞いた。日本の理学療法士の免許をもつ知人が,ニューヨークでPhysical Therapist(PT)の免許を取ろうとしたところ,必要単位が足りず,不足していた単位を新たに履修しなければならなかったというのだ。その科目がアメリカ特有のものなら仕方がないが,化学だという。これまでRegistered Nurse(以下,RN)の免許取得に関して,同様の問題にぶつかる人がいるという噂を耳にしたことはあったが,それは稀なケースであって,よもや日本の大学レベルの職能教育がアメリカで通用しないとは考えたこともなかった。
日本での履修単位がそのまま認められ,試験を受けるだけでよい体制下にあって,化学という基礎科目を理由に再度通学しなければならないのは悔しいではないか。学費もただではない。これも日本のゆとり教育の落とし子なのだろうか。学生が悪いわけではなく,海外で通用しない要件で資格を取得させているのは,大学ひいては国の責任なのではないか。もちろん,専門職免許に関しては,各国でさまざまな基準があるだろうが,何やら昨年末に日本の複数の高校で起きた世界史などの未履修問題が思い出される。
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