連載 看護管理に活かす看護理論のエッセンス・3
トラベルビー―スタッフとの人間対人間の関係を築く―よりよい看護提供を援助するために
遠藤 淑美
1
1名古屋大学医学部保健学科
pp.737-742
発行日 2003年9月10日
Published Date 2003/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100904
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希望を失う体験
希望を失う体験は誰でも多かれ少なかれあるだろう。そこで思い出してもらいたい。希望を失うことになったのは,いわれのない出来事によるものだったのだろう。原因はいったい何だったのだろうか。そして,希望を失うことでどのような状態になり,その後,どのようにしてその体験を克服しただろうか。また,その時,何があるいは誰が支えになっただろうか。
トラベルビーは,「絶望」を「希望がないこと」1) と簡単に定義しているが,「絶望」はまさにそうとしか言いようのない状態なのだと思う。トラベルビーは,希望を「他人への依存や,選択,願望,信頼と忍耐,勇気と関係を持っており,未来志向的なものである」2) としている。絶望はこれらを失うことである。
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