連載 看護管理に活かす看護理論のエッセンス[12]
スナイダー―自立と自律,そして看護の代替的療法
野島 良子
1
1前滋賀医科大学
pp.788-792
発行日 2004年9月10日
Published Date 2004/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100756
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スナイダーは1960年代に臨床看護の実践家として出発し,その後,大学院生である時期を経て,今日まで一貫してミネソタ大学で看護教育と研究に携わってきた。彼女も多くの看護理論家と同じく,20世紀後半の,すなわち現代看護の開拓・方向付けの時期を生き,米国内のみならず,日本,韓国,台湾,香港,英国,アイルランド,スウェーデン,カナダなどのアジアとヨーロッパの看護界にも活動の場を広げて,看護が人間の生き方と文化と切っても切れない関係であることに深い理解を示しながらフルに活動し,看護科学の発展に貢献してきた看護科学者であるといえる。
スナイダーは1980年代前半から幾度か日本を訪れ,日本看護研究学会やその地方会などの学術集会やワークショップで研究の一端を紹介してきているので,日本の看護関係者とはすでに旧知の間柄である。彼女の主な仕事は,概略して(1)脳神経外科看護,(2)看護実践の専門性,(3)看護独自の介入,の3つの領域に分けることができる。スナイダーは老人看護の専門家であり,とりわけ痴呆性老人に対する看護ケアの方法を,マッサージ,漸進的筋弛緩療法,セラピュティック・タッチ,音楽療法などを軸に開発を試みてきている。これらは彼女の言葉でいえば,「看護独自の介入」(Independent nursing intervention)方法である。「自立した,または独自の」(independent)という言葉はスナイダーの人間に対する考えを理解するうえで,重要な鍵を握っている。“independent”という言葉にはスナイダーが人間の本質としてみる自立と,看護実践の自立の両方が含まれているからである。
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