連載 CURIOSITY SQUARE & CIRCLE[5]
―[苅谷剛彦さん]―SQUARE 常識にとらわれないオリジナルな発想のしかた/CIRCLE 議論の質は,ベースになる知識の量と組み合わせる力で決まる
伊豆 上智子
1
1東京医科歯科大学医学部附属病院
pp.361,436-437
発行日 2004年5月10日
Published Date 2004/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100734
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- 文献概要
常識にとらわれず自分の頭で考える。その方法論をまとめた『知的複眼思考法』(講談社刊)の著者苅谷剛彦さんは,常識に左右されるステレオタイプの考え方を『単眼思考』と呼び,そこから脱却して「複眼思考」する具体的な示唆を与えてくれる。
「プロの研究者が最も問われているのは,自分のオリジナルな発想と,それを相手に伝える論証能力,そして,その際の根拠だと思います。根拠がどれだけしっかりしているか,根拠と議論との間の整合性がきちんと取れているか。このことが,研究者として説得力をもち,そして他の研究者とは違う視点から研究をする上での専門性の中核になるものです」。研究者の思考プロセスは確かに論理的であることを求められる。「複眼思考」は,研究を専門としない看護実践者も日々の看護提供を通して,その科学性を追究するには欠かせない思考法であろう。「誰もが研究者になるわけではないけれど,研究者になるためのトレーニングと同じようなトレーニングをすることで,かなり自覚的にものを考えることができるようになるはずです」。
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