特集 ケーススタディ 看護管理者が問題解決能力を発揮するとき
患者サービス向上への問題改善の取り組み―シックスシグマを用いた患者満足度向上プロジェクト活動を通して―看護部長として,どのような問題意識をもち,組織に展開したか
神尾 国子
1
1公立学校共済組合九州中央病院
pp.371-373
発行日 2004年5月10日
Published Date 2004/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100723
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九州中央病院(以下,当院)は,1957年に公立学校共済組合を設置主体として開設され,今年で47周年を迎える。ベッド数330床で,職域病院としての機能と地域の中核病院として急性期医療を目指している。経営状況は,経常収益が常に赤字で,さらに,2002年4月の診療報酬改定では,約3億円の減収が見込まれた。そのようななかで,当院が急性期病院として生き残り,発展していくためには,全職員が病院の理念と方針を改めて理解し,それぞれの立場でいかに患者中心の健全な医療につながるように取り組んでいくかがカギを握っている。そして,これらを推進していくのは各部門・部署の責任者の資質とリーダーシップであり,看護部長としての筆者の役割は,経営上の効率化を念頭に,各部門の責任者個々が十分にリーダーシップを発揮できる環境をいかに整えるかにあった。
看護部長としての具体的な課題は何か
そこでまず,こうした役割を果たすうえで,何が問題なのかを探るため,実際に「患者中心」をキーワードとして,当院の現状を見てみると,患者中心と言いながら,いまだ「医療者主導」の場面が多かった。例えば,インフォームド・コンセントは十分に行なわれていても,最終的な治療の決定においては,患者より医療者主導の場合が多く,看護においても患者側に立つと言うよりも,対患者であって二人称の関係が強く,顧客としての患者という意識が薄く,サービスの面で問題を抱えていた。一般企業と同じような顧客サービスの意識を職員全員がもつことができれば,医療者であるわれわれも,病院ももっと変わると感じていた。
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