連載 事例と判例で考える病院の看護水準と事故防止・7
チューブ類の事故
青木 孝子
1
,
中村 春菜
1
1東京海上日動メディカルサービス(株)
pp.596-602
発行日 2005年7月10日
Published Date 2005/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100208
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はじめに
今年の4月,点滴チューブをつなぐ「三方活栓」の接続部がはずれ,失血しショック死するという事故が報道された。点滴チューブ以外にも,挿管チューブや脳室ドレナージなど,チューブ類の抜去や接続はずれが重大な事故につながるケースもあり,問題となっている。
厚生労働省が行なっている医療安全対策ネットワーク整備事業で2004年1~3月の間に登録病院から報告されたヒヤリ・ハット事例は1万3390事例であった。その分析結果をみると,診療の補助業務におけるエラーのうち,チューブ類(チューブ・ラインを総称)の管理に関する事例は2106事例(15.7%)で,与薬(注射・内服)の次に多かった。その内容は,チューブの抜去(自己および自然抜去)が62.7%,接続はずれが10.4%であった。
チューブ類が挿入されている患者は,術後や高齢の患者,また急性疾患,循環器,呼吸器,代謝性疾患のある患者などで,挿入されているチューブ類は,患者の生命維持や治療のために重要なものである。このようなチューブ類の管理は,看護師が診療の補助業務として担うことが多く,チューブ類を安全かつ適切に管理することは,看護師の重要な役割となっている。
今回は,点滴チューブの接続はずれや自己抜去の事例から,チューブ類の管理のあり方について考察する。
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