連載 看護管理に活かす看護理論のエッセンス[14]
ウィーデンバック―『臨床看護の本質』を看護管理に活かす
和住 淑子
1
1千葉大学看護学部
pp.1043-1049
発行日 2004年12月10日
Published Date 2004/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100593
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ウィーデンバックの『臨床看護の本質――患者援助の技術』1)の序言に,次のような一節がある。「医学や法学や神学などのような専門分野では,その呼び名そのものがその分野の実践家が修得しなければならない知識体系を意味しているのに反して,看護の分野では,必ずしもその呼び名が看護の実践家が身につけなければならない知識体系を示しているとはいえない。看護という専門分野に特有な知識は,看護婦が行なっていることや,またなぜそうするかという理由や,どのようにしているかというそのすすめ方のなかに,埋もれているのである。それは,看護婦がその機能を発揮している臨床状況に含まれる諸要素を厳密に検討することによってのみ,整理することができるものであろう」2)(下線は筆者)。
この文章から,ウィーデンバックは,看護の実践家が身につけなければならない知識体系は未だ明らかになっていないという現状認識をもち,すぐれた看護実践における看護者の行為やその行為を導いた判断に着目することによって,看護理論をつくりあげようとしていた看護理論家であったことがわかる。このような看護理論家としての一貫した姿勢が,「彼女の臨床看護のモデルは,看護師の行っていることが何であり,看護とはそもそもなんであるかについて,系統的に記述しようとした初期の試みの1つである」3)という評価を得たのであろう。
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