連載 看護管理に活かす看護理論のエッセンス[10]
レイニンガー―「文化」に着目した質の高いケアの追求
牛尾 裕子
1
1千葉大学看護学部
pp.603-607
発行日 2004年7月10日
Published Date 2004/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100521
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
看護の現場で感じる「文化」
日々の看護管理業務において,あるいは医療・看護の現場において,自国の文化を意識することはどのくらいあるだろうか。法務省入国管理局によると,平成12年末現在における外国人登録者数は,総人口の1.33%にのぼり,増加の一途を辿っている1)。筆者の専門分野は地域看護だが,学生実習などを通して,農村部でも都市部でも同様に,地域看護の対象者に外国人が増加していることを肌で感じている。外国人に対し看護サービスを提供した経験があれば,その過程で一度は文化というものを感じるのではないだろうか。文化は,異なる文化に接したとき,特に意識されるものである。
筆者自身の保健師経験では,海辺に面したまちと農山村部のまちでは人々の付き合い方や風習が異なり,さらに同じまちにおいても,果物や花を栽培して生計を立てている住民が多い地区と商店街のある地区では,生活様式に違いがあった。そこで,健康相談を行なうにあたっても,誰を通じてどのように健康相談をPRしていくか,実施する場所や時期など,その地区の人々の行動範囲や付き合い方に応じて計画し,1人ひとりへの保健指導では,日常的に食卓にあがる食物や食材の入手方法に合わせて栄養指導を行なった。
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.