特集 看護提供者を支えるためにすべきこと
安全な看護を提供する人員配置を
金井Pak 雅子
1
1東京女子医科大学看護学部
pp.473-475
発行日 2004年6月10日
Published Date 2004/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100490
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はじめに
医療を取り巻く環境はますます厳しく,看護管理者はまさに格闘の日々を送っているのが現実であろう。国民医療費は30兆円を越え,経済不況は回復の兆しもないまま,在院日数の短縮,国立大学の独立行政法人化,DPCの導入などが病院の経営にインパクトを与えている。在院日数が短縮されるということは,入院している患者は医療依存度の高い患者のみであり,また外来における治療・処置がより複雑化することを意味している。
その上,科学技術の発達により,治療内容もますます複雑化しており,患者に処方される薬の量・与薬方法などを例にとっても複雑きわまりない。患者へのインフォームド・コンセントの重要性が強調され,医療ミスに対する国民の批判も厳しくなっている。ただでさえ,看護は24時間営業であり,看護師はシフトワーカーとして身体的負担が多大な専門職である上,その職務には常に神経を使い,精神的負担も大きい。それでも,臨床で働く看護師は看護の質を保証すべく努力している。
そのような厳しい現実の中で働いている看護師に対して,患者や家族は「やさしくて気が利き,技術もしっかりと身につけていること」を期待する。このような消費者である患者や家族の期待に沿うことは,専門職として当然である。しかしながら,ケア提供者である看護師も人間である以上,このような職務内容をこなしていくには,それなりの環境やシステムを整える必要がある。
この環境やシステムを整える責任は,看護管理者にある。したがって,看護管理者が行なう環境・システム整備は,「ケア提供者のケア」なのである。
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