連載 CURIOSITY SQUARE & CIRCLE[4]
―[大野善三さん]―SQUARE 隠したい“負”の部分を担う看護をもっと主張すべき/CIRCLE マスコミに対しても,その“表わし方”に意見表明を
田中 幸子
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1自治医科大学看護学部
pp.277,324-325
発行日 2004年4月10日
Published Date 2004/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100476
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「いま患者の視点が求められています。また,キュアからケアへとシフトするなかで,患者の『生活』を無視して医療のあるべき姿を考えることはできません。生活を支援できるという点で,ケアを担う看護師に期待される役割は大きい」と医療ジャーナリストの大野善三さんは語る。
看護職は,これまで以上にケアの専門性を社会に向けて主張すべきだと言う。「看護師は治療に伴う痛みや苦しみといった患者の入院経験のなかで,言わば,“負”の部分を担っています。実は人間の生活というのは“負”の部分が大きいのです。しかし,現在の医療制度では,看護が担う“負”の部分が削られていく可能性が高い。そのことを患者も看護師も認識するべきだと思います。ところが,患者にしてみれば,病気を治してくれたという“正”の部分に関しては公表したがるけれども,痛みやつらさといった“負”の部分は,なかなか話しづらい。だからこそ,看護職自らその重要性を社会に訴えていくことが重要なのではないでしょうか」
看護の側から社会にアピールしていくための「得策」はあるのだろうか。「スザンヌ・ゴードンが著書の中でも言っていますが,機会をとらえて訴え続けるしかないと思います。他人に一番言いたくないことを私たちはやっているのだ,と主張し続けるのです。粘り強くね。確かに,看護の専門性をアピールする上でも,いまだ医師を中心としたヒエラルキー構造が障壁となっているのは事実だと思いますが,これにばかりとらわれずに,看護の独自性を主張して欲しい」
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