連載 個人情報保護法と医療・5
個人データの第三者提供について―利用目的との関係
畑中 綾子
1
1社会技術研究システム
pp.760-761
発行日 2005年9月10日
Published Date 2005/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100302
- 販売していません
- 文献概要
問い合わせへの対応は?
今年4月,尼崎で起きたJR福知山線脱線事故で,事故直後,家族の安否を心配した家族,報道関係者から医療機関への問い合わせが殺到しました。この対応には,医療機関によってばらつきが生じました。個人情報保護法第23条が,患者の同意のない個人データの第三者提供を原則禁じているため,問い合わせに応じることがこの規定に反しないかどうかが問題となったためです。その後厚生労働省は,大規模災害や事故の場合は第三者提供の例外にあたるとの方針をまとめました。
一方,日常診療業務においても,見舞い客や家族の問い合わせに応じたり,他の医療機関や医師に患者の病状について照会するなど,患者の個人情報を第三者へ提供する場合があります。また,医療業務には,診療行為以外にも,検査会社への委託や外部監査によって,他の機関と連携することもあります。このような場合,個人データの第三者提供として個別に患者の同意を取る必要があるのでしょうか。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.