新連載 看護部長のバーチャルコーポレーションで患者の安全を守る――赤十字医療施設看護部長会の取り組み・1
変化に対応できる組織づくりをめざして
鈴木 八重子
1,3
,
前田 久美子
2
1赤十字医療施設北海道ブロック
2前大森赤十字病院
3浦河赤十字病院
pp.750-757
発行日 2005年9月10日
Published Date 2005/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100301
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はじめに
社会環境が激変するなかで,病院組織が有機的に機能していくには,看護管理者の役割がきわめて重要である。看護管理者が,病院の核となる部門のトップリーダーとしての責務や地域における自施設の役割を遂行するには,従来の部門内統制の意思決定にとどまっていては不十分であり,いかに組織的に取り組むかが鍵となる。
病院の変革を迫る医療制度の構造改革では,患者の視点を尊重することを趣旨として,「医療に関する情報提供の推進」と「安全で安心できる医療の再構築」を医療提供体制改革の骨子としている。医療従事者は患者との信頼関係や安全な医療サービスの提供に日々努力しているが,繰り返される医療事故の報道は国民の医療への信頼を揺るがしており,看護管理者にとってそのことは脅威であり,心痛むことである。医療事故は当事者の知識・技術の不足も指摘されるが,その背景には組織的機能や体制も存在している。病院組織における安全文化を確立することは,医療の質保証の基本的前提であり,組織的に取り組むべき重要な課題である。
赤十字医療施設北海道ブロック看護部長会では,北海道内の赤十字病院の内部環境を分析し,組織の問題を明らかにし,病院組織をどのようにとらえ,どうあることが望ましいか,変化に対応できる組織づくりをめざして検討したので報告する。
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