特別記事
洛和会音羽病院の院内感染対策の再構築―VRE保菌者発生をきっかけに
冨吉 ユリエ
1
1洛和会ヘルスケアシステム洛和会音羽病院
pp.649-653
発行日 2005年8月10日
Published Date 2005/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100215
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はじめに
洛和会音羽病院(以下,当院)は,一般病棟,療養病棟(医療・介護),回復期リハビリテーション病棟,精神病棟,集中治療室をもつ複合型の病院である。また,介護保険施設の提携病院でもあり,救急患者の受け入れについても救急隊からの要請があれば,すべて受け入れるという基本方針をとっている。このような現状から入院患者層は,高齢者,認知症,寝たきり状態,おむつ使用者,経管(経腸)栄養を行なっている患者が3割以上を占めている状況である。
SARSの流行時,当院では病院の建物のリニューアルと重なったこともあって,陰圧の診察室と病室(小児科・呼吸器科)をつくり,感染症対策に力を入れてきた。これまでさまざまな感染症をもつ患者も受け入れてきており,「感染予防委員会」を中心に院内感染対策が採られ,集団感染を起こすことはなかった。
しかし今年2005(平成17)年,接触感染予防策をより徹底して遵守しなければならないとされるバンコマイシン耐性腸球菌VanA型(以下,VRE)の保菌者の発生から,院内における集団感染を引き起こしてしまった。本稿では,なぜ集団感染を起こしてしまったのかを検証するとともに,制圧に向けてどのような対策をとっていったかを紹介したい。
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