連載 医療・看護の経営管理~政策の勘どころ・4
なぜ医療費抑制が強く叫ばれるのか?
吉村 伯太
pp.586
発行日 2005年7月10日
Published Date 2005/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100204
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医療政策の議論がなされるときに,必ず取り上げられる医療費抑制の問題について,今回と次回で,改めて考えてみたい。
医療現場の皆さんは,今でも医療費は厳しく抑制されているのに,これ以上抑制されるのはとんでもないと考えられているかもしれない。しかし,社会の流れはそうではない。新聞報道などでみられるとおり,国全体の経済の舵取りをする「経済財政諮問会議」では,さらに厳しい医療費抑制策を議論中である。具体的には,国全体の医療費総額を経済成長率と高齢化率に連動させる仕組みを導入しようとしている。こうした仕組みが導入されると,医療の中身がどのように変わっても,医療費は一定の率でしか増えないことになる。すなわち,医療の質向上のためにどんなに新しい仕組みが導入され,新しい医療技術が導入されても,国全体として医療費を増やすことがほとんどできなくなるのである。
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