時評
医療費を抑制することはできるのか
斎藤 芳雄
1
Yoshio SAITOH
1
1大和医療福祉センター
pp.183
発行日 1988年2月1日
Published Date 1988/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209242
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厚生省の官僚諸氏は,口を開けば,皆同じように「日本の医療費の上昇は異常である.なんとか手を打って抑えないと,今に大変なことになる」とおっしゃる.余りしょっちゅう聞かされると,こっちもなんとなくその気になってしまうから恐ろしいものである.しかし,ではどうすれば抑制できるのか?と尋ねてみると,返ってくる答は,やれ薬価を切り下げる,やれ検査代を切り下げる,自己負担を少々増やす等々姑息的なものばかりで,それが実現しても,一向に医療費の伸びを抑えられないものばかりである.
昭和61年の国民医療費は17兆円を超すとのことである.GNP比で5%を超えていることになる.しかし,欧米諸国はGNP比で10%に達しているわけだから,厚生省の諸氏も,まだまだ余裕があって,姑息的手段を小だしに出し,国民諸氏に警告を与えている段階と考えるのが正しいのかもしれない.
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