厚生行政展望
新規施策と医療費抑制
厚生行政研究会
pp.368-369
発行日 1996年4月1日
Published Date 1996/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541901781
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昨今のように財政事情が厳しくなってくると,政策決定者にとっては「医療費抑制」効果という言葉が,新規施策を打ち上げる際の隠れキーワードとなってきている.すなわち,医療費抑制効果の薄い施策は新規施策として財政当局に受けが悪いということである.裏返して考えれば,新規に打ち出される施策については,医療(関連)産業全体の収支構造をより厳しい状況へと追い込む可能性に警戒が必要であるということである.しかしながら,経済的に不安定なサービス産業が良質のサービスを永続的に提供できるはずのないことは経済学のイロハである.医療というサービス産業の良質な発展に責任を負う厚生官僚は,あれこれと知恵をしぼって,「理論」的には,すなわち財政当局への説明資料上では絶大な医療費抑制効果があるのだが,「実際」的にはGNPの伸び程度の産業発展が保証される仕組みを考えねばならない.
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