連載 CURIOSITY SQUARE & CIRCLE・18
回想法が引き出す未来への自己治癒力と生きてきた意味[黒川由紀子さん]
藤田 冬子
1,2
1長浜赤十字病院
2高知女子大学健康生活科学研究科
pp.439-441
発行日 2005年6月10日
Published Date 2005/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100175
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えっ,100歳になってもわからないことがある?
83歳くらいまでは生きていたいな。老人看護専門看護師になるずっと以前から,漠然とそう思っていた。そんな私の心に,1冊の本が「もう少し生きていたほうがいいんちがう?」と語りかけた。本の表紙には『百歳回想法』と書かれ,そのタイトルとともにきれいな鞠を持った“100歳の女性”がじーっと私を見つめていた。ページをめくると歴史を物語るたくさんの写真とともに,およそ100歳となる5人の高齢者の人生がぎゅうぎゅうに詰まっている。私の希望であった寿命83歳をいとも簡単に揺るがした極めつけの言葉は,「100歳まで生きてみないとわからないことがある」というひと言だった。
「えっ,わからないことがある?」 最初はそんな驚きだったが,考えてみれば,人は死ぬまで成長し続けているのだからそのとおりかもしれない。そして,そういうことを活字にしてくれた著者に感謝した。当たり前のことなのだけれど,改めて深く実感することができたからだ。そして,その本との出会いから1年あまりが過ぎたある日,なんとこの『百歳回想法』の著者であり企画をした“回想法”の第一人者である黒川由紀子さんへのインタビュアの仕事が回ってきた。
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