連載 おとなが読む絵本――ケアする人,ケアされる人のために・9
本来孤独でも愛されるなら―『ふるびたくま』『さびしいくま』
柳田 邦男
1
1作家
pp.70-71
発行日 2006年1月10日
Published Date 2006/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686100013
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シューベルトの歌曲集『冬の旅』の第5曲「菩提樹」は,私が中学生だった頃,音楽の教科書に載っていたこともあって,広く歌われていた曲だ。
『冬の旅』は19世紀前半のドイツのロマン派詩人ヴィルヘルム・ミュラーの連作詩をシューベルトが歌曲集にしたもので,失恋した青年が町を捨てて旅に出るが,行く先々で出逢う情景は一つひとつが胸を刺し,想いを悲痛にするばかり。そういう物語の一コマとして菩提樹が登場するのだ。
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