連載 アーキテクチャー×マネジメント・98
くまもと県北病院
小菅 瑠香
1
1芝浦工業大学建築学部
pp.192-197
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211876
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■はじめに
熊本県北部に位置する玉名市(図1)の歴史は,日本書紀でも玉杵名邑として描写されるほど古く,今でも多くの遺跡が出土する.九州新幹線の新玉名駅を降りると,見渡す限り一面に広がった田園の向こうに病院が見えた.足元は周囲の自然に溶け込む外観であるため,遠目には白い箱が2本,宙に浮いているようでもある(図2).
多くの地域で病院が再編統合を求められる現代においても,くまもと県北病院のような公立病院と医師会立病院の統合事例は珍しい.302床を持っていた公立玉名中央病院と,玉名郡市医師会立の開放型病院であった150床の玉名地域保健医療センターが統合し,2021年3月1日にくまもと県北病院として許可病床数402床で開院した(図3).
これに先立ち,2017年10月に玉名市および玉東町が設立団体となって「地方独立行政法人くまもと県北病院機構」を開設し,2018年4月に両病院が経営統合を行った.病院が地方独立行政法人化したのは,熊本県では初であった.
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