焦点 家庭訪問/訪問看護の意味を見いだす質的研究—Joyce Zerwekh博士の研究と研究方法
地域看護職の能力に関する研究とJoyce Zerwekh博士の仕事—家庭訪問および訪問看護に焦点をあてて
村嶋 幸代
1
,
斉藤 恵美子
1
,
服部 真理子
2
,
萩原 章子
3
,
鷲見 尚己
3
,
上野 昌江
4
,
金川 克子
1
1東京大学医学系研究科(地域看護学)
2東京大学大学院医学系研究科博士課程(地域看護学)
3東京大学大学院医学系研究科修士課程(地域看護学)
4大阪府立看護大学(地域看護学)
pp.3-14
発行日 1999年2月15日
Published Date 1999/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900724
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はじめに
地域看護は激動の時代を迎えている。高齢化の進行・医療技術の高度化と共に,医療費が高騰し,その抑制が大きな課題となっている。高齢者の長期ケアを担うたあに公的介護保険制度も創設された。在宅ケアの比重が高まると共に新しい職種や民間企業も参入し,ケア提供の枠組みそのものが変更されようとしている。その中にあって,保健婦・訪問看護婦のあり方にも大きな変革が生じてきている。特に,多様な職種が地域ケアに参入し,家庭への訪問を行なうことによって,看護職による訪問活動の意味やその技術が,今まで以上に問われるようになってきた。忘れてならないことは,訪問活動は,以前から看護職が地道に実践してきたのだという事実である。保健婦による家庭訪問,また,訪問看護では,家族の自助能力の育成,刻刻と変わる状況に対する的確な判断とケア,家族支援,そして,身体ばかりでなく,精神を病む人々に対するケアがなされてきた。しかし,それらの活動は,今まで単なる業務として紹介されることが多く,地域看護職の「専門的な能力」としては解明されてこなかった。
臨床看護婦の専門能力を調べたものとしては,Patricia Benner1,2)の質的研究が知られている。Bennerは,臨床の熟練看護婦について研究したのであるが,地域ケアに携わる保健婦・訪問看護婦の能力についても同様に記述し,実践の意味を明確にしていく必要がある。
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