焦点 慢性性(Chronicity)と生活史に焦点を当てた看護学的研究—これからの慢性疾患研究に求められる視点
病いの慢性性Chronicityと生活者という視点—コンプライアンスとアドヒアランスについて
黒江 ゆり子
1
1岐阜県立看護大学
キーワード:
慢性疾患
,
コンプライアンス
,
アドヒアランス
,
ライフスタイルマネジメント
,
慢性性
Keyword:
慢性疾患
,
コンプライアンス
,
アドヒアランス
,
ライフスタイルマネジメント
,
慢性性
pp.287-301
発行日 2002年8月15日
Published Date 2002/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900681
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はじめに
慢性疾患をもちながら生活する時,人は医療職者から提示された養生法therapeutic regimenを自分の日常生活のなかに取り込み,それを1日24時問,1年365日という時間の流れのなかで続けることを期待される。しかし,職場や家庭そして地域における役割を果たしながらこれらの養生法を実施し,かつ長期間続けることは容易なことではない。そのため,人は生活を続ける途上でさまざまな障壁にぶつかり,自分なりの方法で何とか対応しようとする。慢性疾患は,「長期にわたって続く」という特性を有しているため,たとえ自分がもう嫌だと思ったとしても,依然としてそれはそこにあり続ける。短期間の努力だけではどうすることもできず,毎日少しずつ調整したり,病いと「折り合い」をつけたり,生活を「編みなおす」ことが必要となる。
私たち看護職者は,人が慢性の病気をもって生活する時,その人々を支える役割を担っている。しかし,実際に毎日の生活のなかで養生法を続ける時にどのような障壁があるかということを,どこまで知っているだろうか。また,障壁を前にした時に人がどのような思いを抱くかということを知ろうとしているだろうか。
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