焦点 看護研究方法としての疫学的研究方法—疫学調査からEBNへ
看護研究における疫学的研究方法の意義と展望—EBNにおける研究方法論
中野 正孝
1
1三重大学医学部看護学科
pp.3-12
発行日 2001年2月15日
Published Date 2001/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900589
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はじめに
疫学は保健婦活動には欠かせない学問である。しかしながら,看護学生時代に公衆衛生学の基礎として疫学を学習した記憶はあるかもしれないが,臨床の場で活動している看護職者,あるいは看護学研究者でさえ,院内感染の防止などに携わっているような特別な場合を除き,あまり親近感がない学問の1つとなっていると思う。したがって,看護の分野で,なぜ疫学研究の意義について議論しなければならないのか,疑問に思う看護職者も少なくないと考える。
だが,ここで疫学研究における方法論に目を向けてみよう。集団に生起する事象(主として疾病)の因果関係を究明していく一連の疫学研究のプロセスを精査することによって得られた知識・技術は,妥当性や信頼性の高い看護の研究成果を得るためだけでなく,研究論文を正当に評価することにも役立つと考える。最近,わが国においても根拠に基づいた医療Evidence-Based Medicine(EBM),それを看護に応用したEvidence-Based Nursing(EBN)を積極的に取り入れようとする動きが盛んになってきた。実は,EBMの概念が生まれた背景には,疫学,特に臨床疫学が果たした役割が大きいのである。さらに,evidenceとなり得るような実証的・実用的な研究成果の生成,評価,利用などをめぐって,疫学の研究方法論の重要性が再認識されつつある。
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