連載 調査研究向上のために・6
看護実践に即した看護調査研究の実際—実践編④:統計処理の準備
河口 てる子
1
1大阪大学医学部保健学科
pp.531-535
発行日 1996年12月15日
Published Date 1996/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900374
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調査票が戻り始めたら
調査を実施し,回答された調査票がぽつぽつと戻ってきた頃になると,統計処理の準備に入ります。この準備は,自由形式回答のコーディングや入力形式,データ定義を決定し,ぽつぽつと戻ってきた数ケースから十数ケースのデータを入力してみて,結果を一度出してみるのです。このわずか数ケースから十数ケースのデータを処理してみれば,データ定義のミスとおおまかな回答傾向が分かります。もし,全部のデータを入力した後で,入力セルが間違っていたなどの単純なミスを発見したら,多大の労力が入力ミスの修正にかかってしまいます。修士論文のように提出期限の決まっている研究では,入力ミスに気づくのが遅くなって,その修正に時間がかりすぎ,なかなか統計処理に入れず,あせってパニックになってしまうことがあります。しかし,数ケースから十数ケースなら安心して直せますし,記述式の自由回答も安心してコーディングできます。
このように調査票の回収期限が来るまでの1〜2週の間に,統計処理のための前準備をすると時間が効率的に使えます。つまり統計処理の前準備とは,調査票が全部回収されるまでの間にデータ定義(プログラム)を完成し,動かしてみてミスがないことを確認(ほとんど絶対と言っていいほど必ずミスがあるものです)しておくことにより,調査票が回収されたら,直ちに単純集計,属性別分析,研究枠組みに添った分析に入ることができるようにするためのものです。
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