焦点 痴呆性老人の看護に関する研究
原著論文
認知障害のある高齢者とその家族介護者の現状
井上 郁
1
1高知女子大学
pp.189-202
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900343
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高齢者人口の増加に伴い,その介護は現在大きな社会問題として取り上げられ,この領域での出版物や研究も急激に増加してきている。以前はそれらの多くが実態の記述に止まっていたが,最近は高齢者介護に関わる概念を測定するための測定用具の開発も行なわれるようになってきた。また,介護に関する概念と介護名や被介護者である高齢者の特徴との相関をみる研究も行なわれるようになってきた。しかし,そこで取り上げられている概念は,介護負担とかストレスといった介護の否定的な側面を表すものが中心であった。そこで,介護状況を全体として把握するために,その否定的な側面ばかりでなく,肯定的な側面をも含めた,より多くの側面から状況を測定できる測定用具の開発を目的に研究を行なった。
測定用具の開発過程に関する詳しい報告は,他の機会に譲って,ここでは,その研究で得られたデータを基に,認知障害のある高齢者とその介護家族の状況について,分析した結果を報告する。特に,今回は,介護者と被介護者との関係性の質,介護に対する介護名の準備状況,介護活動の結果として現れてくる否定的な側面と肯定的な側面との関係に焦点を当てて分析した。
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