特集 高齢者介護と公的介護保険
わが国の高齢者介護の現状と将来
山崎 摩耶
1
1日本看護協会
pp.661-664
発行日 1995年10月15日
Published Date 1995/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901349
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はじめに
21世紀,わが国は4人に1人が高齢者となり,しかも後期高齢者が7人に1人という“超高齢社会”を迎える.すでに1994年には,高齢化率は14%を超え“高齢化”から本格的な“高齢社会”に突入し,介護問題も深刻化し本格的取り組みが必須となっている.それらを鑑みて,本特集にみるように介護の新しいシステム構築が俎上にのせられ,喫緊の課題とされてきた.すでに政府は94年暮れに,全国の市町村老人保健福祉計画の積み上げ値から,ゴールドプランの見直しをし,新しいプランの実施で高齢者ケアの本格的な基盤整備にとりかかったところである.しかし,高齢者ケアに従事するものであれば,この新ゴールドプランでようやく基盤整備ができるに過ぎなく,高齢者介護の課題はもっと深刻で過酷であり,かつニーズも計画以上に増大することを簡単に予測するであろう.
つまり高齢者の介護は,古今東西それぞれの時代に課題ではあったが,今や,かつて経験したことのない新しい時代の課題である,と規定しなければシステム構築の方向性をあやまるのである.なぜならば介護の現実は,かつてなく長期化しており,かつ重症化し医療依存度が高くなり,複雑な障害や痴呆・難治性疾患のケアといった課題をかかえ,療養と死の場所の選択の問題や,受け手の人権すら問われているからである.
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