原著論文
看護管理者のライフコースとキャリア発達に関する実証的研究
草刈 淳子
1
1千葉大学看護学部附属看護実践研究指導センター
pp.123-138
発行日 1996年4月15日
Published Date 1996/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900337
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I.緒言
「総看護婦長制度」は,管理における同質業務の集中化による能率向上を目指した[中央化理論」に基づく組織の体系化の一環として,1949年(昭和24年)に国立大学医学部附属病院の一部に,また,1950年(昭和25年)には国立病院・国立療養所に導入され,漸次全国的に普及した(橋本他,1954,1972)。その後1976年(昭和51年)に,国立学校設置法施行規則の一部を改正する省令(昭51.文部省令第18号)により国立大学病院に「看護部及び看護部長」が設置された。国立病院及び国立療養所については厚生省組織規定及び訓令の一部改正(昭51.厚生省令第16号)により,事務部をおく施設の総看護婦長を[看護部長」に名称変更するに留まったが,昭和57年4月に看護部門の組織改正の延長としての規定整備(昭57.厚生省令第41号)がなされ,看護部設置が明記されたことにより,ここに国立医療施設における「看護部」組織が成立した。
近年,看護部長の世代交代が急速に進み,戦後の保健婦助産婦看護婦法(1948年)に基づく新しい看護教育制度による初期の卒業生が看護部長に就任し,看護組織のほぼ全成員が新制度教育を受けた看護職によって構成されるに至った。このことは,同法に基づく新しい“職業”としての[看護職」が,この組織を通して成長・発達の軌跡を描くに至ったことを意味する。
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