原著論文
“看護者の行為”に対する患者の認知—リハビリテーション病棟に入院している脳血管障害患者に焦点をあてて
大川 貴子
1
1兵庫県立看護大学
pp.115-132
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900294
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研究目的とその背景
わが国では,脳血管疾患による死亡率は1970年をピークに減少傾向にある一方で,その受療率は依然として増え続けており,脳血管障害患者に対するリハビリテーションの充実が望まれている1)。
ここで,リハビリテーションとはいったい何であるかが問題となるが,今日のリハビリテーション概念は,1970年代に米国で始まったIL(independent living)運動の影響を強く受けている。IL運動の根本思想は「健常者の価値観の一方的な押しつけを拒否し,障害者自身の主権を回復する」ところにあるとされている2)。それに伴ってリハビリテーションに対する考え方も,障害者を機能面において最高レベルに到達させるということから,障害者の主体性に重きを置くことへと変遷してきた。上田がリハビリテーションの究極的な目的を,「ADLの最大の自立ではなく,QOL一社会的・文化的な面を含めた生活全体の質の向上である」3)と述べていように,リハビリテーションとは,単にADL(日常生活行動)の自立を目的とするものではなく,患者の主体性を尊重し,生活の質の向上を目指したものであると言える。
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