焦点 老人ケアの教育とカリキュラム
解説
ST教育と老人ケアへの取り組みの現状
植田 恵
1
1東大和病院脳神経外科
pp.530-533
発行日 1994年12月15日
Published Date 1994/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900226
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STの現況
STとは,Speech Therapy(言語療法)の略称で,身体的な動作能力の回復を目的としたPT(Physical Therapist),社会的適応能力の回復を目的としたOT(Occupational Therapist)に対して,コミュニケーションの手段としての言語の能力の回復,あるいは獲得のための訓練を行なうものである。具体的には,難聴などの聴覚障害,言語発達遅滞,失語症などの言語の障害,音声の障害によりコミュニケーションの手段を欠く者に対して相談,評価,指導,訓練などの種々の働きかけを行なう。またこれを行なう者をさしてもST(Speech Therapist)と言い,わが国では,言語療法士,言語治療士,臨床言語士,聴能言語士などとも呼ばれている(以下本稿では,後者の意味でSTという言葉を用いる)。
STは現在まだ国家資格とはなっておらず,日本聴能言語士協会,医療言語聴覚資格制度推進協議会がそれぞれの基準を設け,認定を行なっている。その活動の場は,大きく医療・福祉・教育など広範囲に渡る。また,対象となるのは乳幼児から高齢者までであるが,今回は特に高齢者に関するSTの現状を述べる目的から,子どもの発達などに関わる問題は省略させていただく。
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