焦点 看護におけるケアリングの概念
解説
「ケアリング」の概念と研究方法を模索して
近田 敬子
1
1京都大学医療技術短期大学部
pp.40-47
発行日 1993年2月15日
Published Date 1993/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900112
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はじめに
数年前から「ケアリング」という言葉を,看護関係の研究会や学会などでたびたび聞くようになった。看護分野でこの言葉が用いられている領域を見ると,看護そのものの本質に迫るために使われているのはもちろんであるが1-3),看護教育の方法に関する提言4)などにも至っており,おそらく今後は看護管理や研究などにも使っていくべき概念のようである。学術性のある看護学会などにおける基調講演の内容が,今後の看護界を先導するものであるとするならば,ケアリングは何か新しい概念のようであり,今後の看護の実践や教育に何らかの変革が求められていることになる。
1989年7月に開催された日本看護科学学会第1回国際看護学術セミナーでのメインテーマが,「ヒューマン・ケアリングと看護」であった。その際の講演内容は,M. Jean Watson氏による“ヒューマン・ケアリング理論の新次元1)”と題したもの,さらにYu-Mei(Yu)Chao氏の“ケアリングの諸概念――文化の相違をふまえて――2)”という内容,そしてわが国からの演者としての野島良子氏による“Human-Caringと看護――看護の美はどこに成り立つか――3)”と題した講演であった。
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