焦点 看護におけるQOLの研究[2]
解説
心理学からのQOLへのアプローチ
中里 克治
1
1東京都老人総合研究所・心理学部門
pp.193-202
発行日 1992年6月15日
Published Date 1992/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900078
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クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life:QOL)は,英語においては日常的な言葉であり,誰でもが分かるような言葉である(丸田,1992)1)。クオリティ・オブ・ライフとは,良い生活,豊かな生活,あるいは比較級として,今よりもましな生活といったところがその意味であろうか。しかし,カタカナで「クオリティ・オブ・ライフ」と書くとそれが何か特別な難しい概念であるかのように思えてくるから不思議である。
その概念が唱えられ始めた1970年代頃には,いわば,QOL運動といった形で,入院患者や障害者に奪われていた生活を回復させるといった意味合いでQOLという言葉が使われていたようである。そして,その人の生活する環境の整備や身体機能・生活機能の維持・向上といった,いわば客観的に把握できるような面に重点を置いて考えられていたようである。しかし,最近では次第に主観的な側面にも注目が向けられようになってきており,QOLは客観的側面と主観的側面の両面から把握されなければならないと考えられるようになってきた。この主観的側面は“perceivedQOL”と呼ばれる概念と対応しており,主観的QOLあるいは認知されたQOLと訳すことができよう。
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