医療におけるQOL 現代患者論序説・4
心理的ファクターと患者のQOL
ニノミヤ アキイエ・ヘンリー
1
Akiie Henry NINOMIYA
1
1神戸聖隷福祉事業団
pp.1048-1053
発行日 1987年12月1日
Published Date 1987/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209198
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はじめに
QOLのライフ(life)という言葉には生命,人格,生活,人生という意味がある.今回から数回にわたり,人生というライフ・サイクルの中で幼児,児童から成人,円熟期へと成長し,死にゆく過程を人格形成の発展という側面からとらえて,患者のQOLを追求していきたい.
今世紀,特に戦後,日本人のライフ(人生)は大幅に変化した.例えば,出産は何百年もの間,自宅(施設外)で助産婦の介助によってなされていた.厚生省の「人口動態統計」によると,1950年には自宅・その他での分娩が95.4%であったが,たった20年後の1970年には3.9%に減っている.1984年には99.7%の人間が病院等の施設内で生まれているという.今や,人間は病院で誕生するのが当たり前になっている.
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