【翻訳】EPISフレームワーク—実装科学と看護学研究における有用性

要旨

実装科学は，効果的な臨床的・公衆衛生的介入をグローバルな保健・医療環境で実装するために大いに役立つ。現在のところ100を超える実装科学の理論，モデル，フレームワークがあり，それぞれ異なる仕様と有用性がある。中でも，Exploration（探索），Preparation（準備），Implementation（実装），Sustainment（持続）（EPIS）のフレームワークは，エビデンスに基づく介入を実装するために最も広く使用され，最も柔軟なフレームワークの1つである。EPISフレームワークは，米国，欧州，サハラ以南のアフリカ，メキシコ，オーストラリア，その他の国々で活用されている。EPISフレームワークは，看護師が働く複雑な保健システム，保健組織，地域環境を考慮しているため，看護学研究において特に有用である。またEPISは，研究者や実践家が，実装戦略における重要な決定要因やメカニズムを検討するのに役立つ。本稿では，EPISフレームワークの概要について，その段階とドメインについて解説する。また政策に焦点を当てた実装，チームベースの実装，そして実装研究における権力と公平性の問題にEPISがどのように適用できるかという実例を示す。そして，EPISについて学ぶための資源や，看護学研究においてEPISを活用するためのツールについても解説する。