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取り組みの契機
高知県立大学の特徴
高知県立大学(以下,本学)は,学部は看護学部,社会福祉学部,健康栄養学部,文化学部の4学部,大学院は看護学研究科,人間生活学研究科の2研究科があり,大学の理念として「域学共生」を掲げている。「域学共生」とは,地「域」と大「学」が「共」に「生」きていくための協働関係を築き,「大学が地域を変え,地域が大学を変える」という考え方である。これらの方針のもとに,本学では「地域教育研究センター」「健康長寿センター」を設置し,各事業展開を行っている。2つのセンターでは,全学部,2研究科から学際的に教職員が参画し,教員・学生自らが地域の課題を認識し,高知県の政策の方向性に従って地域課題に取り組み,教育・研究機能をいかした課題解決の方策について政策提言に取り組んでいる。このように,大学の理念に基づいた全学的な運営体制が構築されており,地域貢献活動を展開しやすい基盤があることは本学の強みといえる。
学部生のカリキュラムにおいても,「域学共生」の理念に基づき,共通教養科目に域学共生科目を置き,授業科目として「地域学概論」「地域学実習Ⅰ」「地域学実習Ⅱ」の3科目を配置し,一部を除き必修化し,全学部の学生が共に学んでいる。キャンパスと現地で学んだ広い視野を基盤に,専門の知識や技術を身につけることによって,地域のことをよく理解し,チームを組んで地域課題の解決に取り組むことのできる人材の育成に取り組んでいる。これらの科目は一般教養の教員と看護学部はじめ各学部の専門科目担当の教員が乗り入れ,全学的な運営体制をとり,さらに講義のゲストスピーカーに高知県知事を招くなど,地域と連携しながら進めている。以上のように,本学において全学的な地域志向の教育が展開されていることも,地元創成につながっているといえる。
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