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取り組みの契機
入退院支援の質向上が求められる背景
わが国では超高齢社会となり,「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者となる2025年に備え,医療提供体制は医療機関完結型から地域完結型へと移行され,医療機関の機能分化・強化と連携,在宅医療等の充実が推進されてきた。2014年度の診療報酬改定においては,重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう,住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築を実現することが明示された。2016年度には,「退院支援加算」が新設され,病棟の退院支援業務等に専従する職員の配置や,多職種による早期のカンファレンス,退院直後の看護師等による訪問指導の実施による退院支援の充実等,「地域包括ケアシステム」の構築が推進された。さらに2018年度には,退院支援加算が入退院支援加算に変更され,入院予定者が入院生活や入院後の治療過程をイメージでき,安心して入院医療が受けられるための支援が求められるようになった。そのため,医療者側が褥瘡・栄養・薬剤等のリスクや,入院前に受けていたサービス・退院困難要因等を入院前に把握し,入院前からの入退院支援が推進されるようになった。
岐阜県においては,森林率が81.5%であり,42市町村のうち16市町村が過疎地域に指定されている(一部指定の地域を含む)。人口は194万8044人,高齢化率30.5%(2022年7月1日現在)であり,2005年頃からの長期における人口減少・少子高齢化が進展している。そして75歳以上の後期高齢者の高齢者世帯や単独世帯が急増し,医療・介護のニーズはますます高まっている。県による医療提供体制を実現するための施策として,病床の機能分化・連携を推進し効率的で質の高い医療提供体制を構築すること,また,地域包括ケアシステムを構築し住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう,在宅医療体制の整備の推進等が示されている(岐阜県,2022)。
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