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本学の状況
私たちがCOVID-19の影響を感じ始めたのは,2020年2月に入ってさまざまなセミナー等の中止連絡が入り始めてからである。大学からも不特定多数が集う集会等への参加や飲食を伴う会合の自粛要請もあり,当分野(東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科看護先進科学専攻臨床看護開発学講座先端侵襲緩和ケア看護学分野)としても,2月中旬には年度末の壮行会の中止を決めた。3月中旬には大学から2019年度の修了生の学位授与式や2020年度の入学式等の中止が発表され,晴れの日を例年のようには祝ってあげられなかった。これは全国同じような状況であったと想像する。
東京医科歯科大学(以下,本学)が他と少し違っていたのではないかと思うのは,COVID-19感染拡大へ備える覚悟と対応の早さがあったように感じている。3月中旬には,感染拡大に伴う対応として,4月中の授業は遠隔講義とする方針が伝えられた。本学の統合教育機構が遠隔講義支援チームを組織し,3月下旬には,遠隔講義形式およびWeb会議システム(Zoom)についてのオリエンテーションが遠隔講義支援チームによって実施され,マニュアルも整備された。実際にZoomを体験するオリエンテーションが,都合の合う日時に受講できるよう,数日にわたり,1日に何回か同じ内容で開催されたことはありがたかった。これは,非常に早い決断であり,対応であったと感じている。新聞などで,新学期のスタートをゴールデンウィーク明けからに決定する大学等が多いことが報道されていた中,本学は例年どおりに開始することがこの段階で決まっていた。3月下旬は遠隔講義支援チーム,教務,不慣れな方法で講義を準備する教員にとって,とてもストレスフルな状況であったことは間違いないが,学生の学びを止めず,在宅勤務になっても授業を提供できる体制を年度末までに整えられたことは,非常に大きな意味があったと思う。
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