連載 あなたがエビデンスを生み出す! 臨床看護研究の骨と肝(4)
現場の強みを生かすアクションリサーチ
櫻井 利江
1
1筑波大学医学専門学群看護医療科学類
pp.1030-1033
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100549
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前回は事例研究をとりあげましたが,今回はアクションリサーチです.解説に移る前に,前回のおさらいをしましょう.
ケアの有効性を確認するために
白井さんたちの研究は「ポータブルトイレから立ち上がるときのふらつき」に焦点を当てたものです.前回は,過去の看護記録をデータとした事例研究を行ないました.その結果,排便量との関連や年齢,疾患などの影響については不明なままでしたが,どうやら,「立ち上がりますよ」などと声をかけると,ふらつきが減少しているのでは,ということが見えてきました.
しかし,その方法が過去の看護記録から抽出した場面の解析であったために,排便量が記載されていなかったり,立ち上がるときの様子が詳しく記述されていなかったり,とデータが欠損していました.そのため,この事例研究の結果だけでは,「ポータブルトイレから立ち上がるときのふらつきを予防するためには,立ち上がる前に声をかけることが有効である」とは言えないのです.
そこで今回は,せっかく臨床現場に居ながらにして研究を行なっているのですから,その利点を最大限に生かしたアクションリサーチを行ない,このケアの有効性を確かめていくこととしましょう.
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