特集 よい論文とは? おもしろい論文とは?
研究成果の普及に力を入れる
宮下 光令
1
1東北大学大学院医学系研究科保健学専攻
pp.498-502
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201300
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自身の研究の足跡
正直にいうと,私は質より量の量産型タイプで,すごい論文はないのだが,自分の関わった「Good Death 4部作」の論文は全体の流れが起承転結といったようにテンポがよく締ってよかったかなと思う。私の専門は緩和ケアの質評価だが,2000年頃から世界的に,緩和ケアの質を評価する新たなエンドポイントを再定義しようという試みが行なわれ,各国の文化や実情に沿って「Good Deathとは何か」という研究が行なわれた。この日本版として行なわれたものがこの一連の研究である(図1)。
まず,63人のインタビューと主題分析・内容分析によってGood Deathの要素を抽出し(Hirai, Miyashita, Morita, Sanjo, & Uchitomi, 2006),量的研究でそれを概念化した(Miyashita, Sanjo, Morita, Hirai, & Uchitomi, 2007)。海外のGood Deathの研究はここで終わることが多いのだが,私たちは,このGood Deathが実際に達成されているのか,達成されていないなら何が問題なのかを明らかにするために,遺族による評価尺度を開発し(Miyashita et al., 2008),J-HOPE研究という大規模な遺族調査を行なった(Miyashita, Morita, Sato, Tsuneto, & Shima, 2015)。この尺度は,韓国語,中国語,スペイン語などに翻訳使用され,J-HOPE研究もJ-HOPE 2研究(2010年),J-HOPE 3研究(2014年)と継続している。
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