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2015年10月29日,兵庫県立大学にて,米国ペンシルベニア大学のDr. Afaf I. Meleisに「Disruptions : Then What?」というテーマでご講演いただいた。講演の構成は,まず,「Disruptions」とは何かから始まり,人々の健康に影響を及ぼすリスクのあるDisruptionsとはどのようなことか。そしてそのDisruptionsにどう備えるかという問いに答えるものとして「Resilience」について解説し,個々のResilienceの強さを決定していく因子がTransitionのプロセスにおいて,いかにその経過やアウトカムに差を生じさせているのか,またその差はどのような要素から引き起こされるか,もしくは,なんらかのInequity(不平等さ)があるかという問いを投げかけられた。そしてこれらを踏まえて,Transitions Theoryがどのような位置づけにあり,Transitions Theoryを用いた研究がどのような役割を果たしうるかについて,力強く話された。
看護の主眼が,disruptiveな境遇に置かれる対象の健康を保持・増進,回復をめざすことを目的にさまざまなレベルで看護介入していくことにあるとするならば,Transitionをどのように捉え,看護研究や看護実践でどのように「Transitions Theory」の枠組みを活用していくことが有用であるか,そしてそれをどう活用していけるのかという問いに答えていくプロセスの始まりの扉を,Dr. Meleisに開けてもらったようであった。
本稿では,講演のキーとなる「Disruptions」「Resilience」「Transitions Theory」をメインに据え,主な講演内容と,その中で示された今後の看護実践や看護研究への示唆について述べていく。
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