焦点 看護における家族研究の課題
解説
家族看護学への展望—アメリカ合衆国のファミリーナーシングの動向を通して
野嶋 佐由美
1
1高知県立高知女子大学家政学部看護学科
pp.378-385
発行日 1989年10月15日
Published Date 1989/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201035
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はじめに
アメリカ合衆国の家族看護者たちは,家族に対する看護をファミリーナーシングと称し,看護の1つの学問領域として,家族看護学を構築し,発展させていこうとしている。家族にアプローチする場合,1つの特殊な理論,研究あるいは実践が必要であると考えている。しかしながら,わが国では,多くの論文や著書が,家族へのアプローチや家族ケアを論じているにもかかわらず,家族看護学として位置づけるにはいたっていない。
したがって,この論文では,アメリカ合衆国の家族看護の動向に基づいて,家族への看護と家族看護の研究を看護パラダイムの中に統合し,家族看護学を構築する方向性を探究することを目的とする。すなわち,まず,家族看護学が台頭してきた背景であるクライエントとしての家族という考えにふれ,その後で家族看護学の定義を述べる。
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