焦点 看護における家族研究の現状
研究レポート
配偶者と死別した個人の悲嘆からの回復にかかわるソーシャル・サポート
宮本 裕子
1
1天使女子短期大学
pp.303-322
発行日 1989年7月15日
Published Date 1989/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201030
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はじめに
めざましく進歩した医療,高齢化社会,そして,核家族化は,死についての問題や課題にも新しい意味をもたらしている1)。家族成員の死は,家族の1人1人に変化をもたらし,なかでも配偶者の死は,親密性が高いほど,残された夫あるいは妻にとって自己の半分がもぎ取られたような強い衝撃となる2)。また配偶者に対して両面感情をもっている場合も,死後に罪の意識などに悩まされ,喪失からの回復に時間がかかるといわれている3)。残された人は,傷つきやすく,健康逸脱の機会にさらされるが,人間には,生得的にあらゆるストレスを乗り越える力が備わっており,それをどのように乗り越えるかによっては,人間的成長の重要な機会ともなりうる4)。しかし,回復までの期間は傷つぎやすい状態にさらされ,防衛的なひきこもりがなされたり,まわりが気づかなかったりなど,必要なサポートが得られにくい状態におかれる5)。
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