焦点 看護における家族研究の現状
研究レポート
終末期患者の家族に対する看護—家族ダイナミックスへの看護介入のあり方
荒川 靖子
1
,
佐藤 禮子
2
1岡山大学医療技術短期大学部看護学科
2千葉大学看護学部
pp.323-341
発行日 1989年7月15日
Published Date 1989/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201031
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はじめに
1人の患者の死は,残される家族にとっては愛するものを失う喪失の体験となる。死は,一単位としてひとまとまりの生活を営んでいる家族から,その構成員を奪い去り,家族構成の変化は,家族のそれまでの生活様式の変更を余儀なくさせる。残された家族は,死別後も危機に陥ることなく健全な家族として生活し続けていくために,新しい生活様式をいち早く再構成しなければならない。家族にとっての大きな課題である。
家族が死別そのものを,避けられないものであると認識し,別れへの準備を整え,患者と心の通い合った別れをし,成員の1人が欠けた後も,その喪失の事実に適切に対処して,健全な家族として機能し続けていけるよう援助することは,終末期看護における重要な焦点の1つと考える。
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