焦点 看護における家族研究の現状
研究レポート
自宅退院を間近にした患者の不安に影響を及ぼす家族的要因—リハビリテーション施設における聴き取り調査を基に
沼本 教子
1
,
瓢風 須美子
1
,
渡辺 タミ子
2
1東洋大学大学院社会学研究科
2東邦大学医療短期大学
pp.290-302
発行日 1989年7月15日
Published Date 1989/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201029
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はじめに
森岡は「家族とは,夫婦,親子,兄弟など少数の近親者を主要な成員とし,成員相互の深い感情的包絡で結ばれた第一次的な福祉追求の集団である」1)と定義している。そして,その根幹をなす概念である「福祉追求」とはN.レッシャーの論に立脚しながら「(1)保健欲求,(2)経済的安定欲求,(3)情緒的反応欲求を追求することである」2)と述べている。
以上の定義に立つならば,その家族成員の1人が健康障害に陥った時,また退院後の生活に適応していく上で,生活を共有している家族は大きな位置を占めてくることになる。すなわち,個人の発病,入院,退院,療養生活,死といった健康に関する事象は,家族が1つのユニットとしてその機能を十分発揮しつつ対応し,適応していかなければならない課題であるということができる3)。
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