焦点 家族療法の理論と実際
解説
コミュニケーションの視点から
佐藤 悦子
1
1立教大学社会学部
pp.232-240
発行日 1989年4月15日
Published Date 1989/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201024
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今日,家族内の相互作用つまりコミュニケーションに特に焦点を当てることで,家族の機能回復を援助しようとする"コミュニケーション療法"は,その理論と実践の枠組を,いわゆる"コミュニケーション派"と歴史的に呼ばれるグループに負うている1)。
このグループはベイトソン(G. Bateson)を中心にした"スタンフォード・プロジェクト"にかかわったヘイリィ(J. Haley),ウィークランド(J. Weakland),ジャクソン(D. Jackson),その後プロジェクトの臨床部分を受けついで,ジャクソンによって設立されたMRI(Mental Research Institute)に参集したヘイリィ,ウィークランド,サティア(V. Satir)たちによって成立している。米国西部(カリフォルニア)で試みられた対人コミュニケーションの理論づけと実践と平行して,東部(ワシントンDC)においても,ウィン(L. Wynn)らを中心とするNIMH(National Institute for Mental Health)グループのあることも忘れてはならないだろう。彼らは西部の"コミュニケーション派"に対して"トランズアクショナル・モデル派"と呼ばれるが,コミュニケーション活動の参加者間に起こる意図のズレ等をCD(Communication Deviance)として注目した。
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