焦点 変貌する"家族"概念
解説
老人家族の変容
高橋 正人
1
1東京都老人総合研究所社会学部
pp.159-167
発行日 1989年1月15日
Published Date 1989/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201017
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はじめに
戦後,我が国の家族は大きな変貌をとげた。それは憲法改正,民法改正に伴う「家」の廃止による家族の制度的変化,めざましい高度経済成長による経済社会構造の変化,人口の都市集中,民主教育の浸透,情報ネットワーク網の拡大など,さまざまな社会変化の一側面である。家族をとりまく社会情勢が大きく激しく変化し,人間の生活の基礎をなす家族生活も,その中で変化してきているのである。
戦後の我が国の家族の変化については,誰でもが個々人の生活体験から実感しているところであろう。また我々の周囲を見まわして,家族変化のいくつかの現象をあげることはできよう。しかし,我が国の家族の何がどう変わったのかを整理して述べることは,そう簡単なことではない。本稿では,家族の変化の中での,特に老年期にある者の家族生活に焦点を絞って,その問題を整理することにしたい。
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