特集 医療保険抜本改正
Editorial
医療保険のゆくえ
水野 肇
pp.239-243
発行日 1972年4月15日
Published Date 1972/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204456
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医療の危機
7月一杯行なわれた日本医師会の総辞退は一応収拾され,そのさい,政府と日本医師会との間で決められた約束に従い,目下,中央社会保険医療協議会で診療報酬の引上げをめぐって議論がつづけられている.だが,いうまでもなく,こういったことだけで,医療問題が解決するのではない.いわゆる抜本改正がどうなるかによって,こんどの総辞退が,国民にとって,生きるか,死ぬかということになる.
「医療の危機」ということがいわれはじめて,もう数年にもなる.もちろん,危機のとらえ方は人によって千差万別であろう.なるほど日本の医療制度,とくに社会保険は,形のうえではヨーロッパの各国のように整っている.国民皆保険であるし,診療機関も比較的整っているといえよう.それでいて,医療の危機が叫ばれるのは,その内容が,アンバランスであったり,貧困であるためだといえよう.
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