特集 変革に立ち向かう病院―病床削減と人材難に対処する
病床機能区分のゆくえ
濃沼 信夫
1
1東北大学大学院医学系研究科
pp.302-306
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100522
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病床区分は制度改革の柱
昨年2006年6月に成立した医療制度改革関連法のねらいは,今後20年間にわたる医療財源と医療資源の持続性を確保することである.前者は財政破綻,後者は医療崩壊を回避するため,それぞれ健保法等改正,医療法等改正として改革の大枠を規定している.既に決まっている医療のルール変更は,2006年10月(高齢者自己負担引き上げ),2007年4月(社会医療法人の創設),2008年4月(新たな高齢者医療制度)など,さみだれ的に実施に移される.まだ決まっていない多くの具体的事項は,政省令等で今後定められることになる.これは,今回の改革の最終年である2025年まで,行政への働きかけ等を通じ,あるべきルール変更を実現する機会が少ないことを意味する.
病床の機能に関わる改革で,既に明らかになっている方向は,健保法等改正における介護療養病床の廃止(2012年4月)と,第5次医療法改正における医療計画の見直し(2007年4月に基本方針)である.しかし,病床の機能に関わる事項は,この2つにとどまらない.後述のごとく,医療制度改革の各種施策のベクトルは,その多くが病床数適正化に向かっていると考えられる.病床数適正化という,今後四半世紀のメガトレンドにおいて,病床の機能区分のあり方が鋭く問われていると言える.
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