特別寄稿
アメリカ看護の論争点を探る—日本独自の看護理論,方法論を求めて
ライダー 玲子
1
1St. ルカ病院
pp.312-319
発行日 1981年10月15日
Published Date 1981/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200673
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1.はじめに
まず,この原稿を書くにあたっての動機を説明したい。1963年の秋に筆者が日本を去って,すでに十数年の歳月が流れた。この間,休みなく臨床看護に従事し,1966年より看護教育学を専攻して現在に至った。筆者としては,看護を一生のキャリアとして考えているので,日本の看護にも深く関心をもち,日本で出版されている「看護」「看護研究」「看護教育」「看護展望」などを,機会があれば努めて読むようにしている。筆者はいまだアメリカの市民権をとらず,外国人であるということのために,アメリカ看護の実情を冷静な目で見ることができ,アメリカの教育者や管理者では理解できない,あるいは理解しようとしない細かい点をも洞察することができる。アメリカのナースは,アメリカの看護が世界一であると自負しているので,外来者の批判には堪えられないのであるが,アメリカは数多くの深刻な問題が山積みし,その解決法も意見の一致がみられず,たいへん困難な状況に至っている。
日本の看護は,1945年,占領軍ナースのイニシアチブと,当時の日本看護界のリーダーによるたゆまぬ努力の中で改革され,三十数年を経た今,驚くべき成長・発展を遂げた。
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